【読書記録】口の立つやつが勝つってことでいいのか

2024-04-14

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全体的に読みやすく。スルッと読めた。

たとえば「口が立つやつが勝つ」という「なんとも言えない居心地の悪い空気」に対して、本当にそれでいいのかと「水を差す」力をくれる本だった。
「空気を読む」行動が日常的になっていて、「悪い空気」を「そういうものか」と追従的に受け入れしまっている自分を認識させてくれた。
今後は自分の中の「もやもや」をもっと大切にしていきたい。

「居心地の悪い空気」に対する投げかけが多くあったが、その中でも「言語化することは絶対正義ではない」という投げかけにはハッとさせられた。
たとえば、好きな子がいるとする。なんで好きかと聞かれたら困ってしまう。しかし、とにかく好きなのだ。
この、「もやもやした言葉にならない思い」に理由や原因をつけ「無理やり言語化させた」とする。すると、言語化する前と後では、前よりもその子のことが好きではなくなってしまうのだ。
こういった事象は意外に多くある気がしていて、「言語化すべきところ」と「言語化すべきでないところ」を意識的に判断して、「言語化すべきでないところ」をちゃんと味わえるようになろうと思った。

また、エッセイ本であるため、共感できない部分もあったが、心温まる話も多かった。
自分が特に好きな話は、「愛をちょっぴり少なめに、ありふれた親切をちょっぴり多めに」と「牛乳瓶でキスの練習」の部分だ。
「愛をちょっぴり少なめに、ありふれた親切をちょっぴり多めに」では、「汝の隣人を愛」することはハードルが高いが「汝の隣人にたいして親切に」だったらやれる気がするだろ?という話だった。たしかにそうだし、世の中に幸せを増やすいい言葉だと思った。
「牛乳瓶でキスの練習」は、筆者が中学生の時の話で、同級生の女の子が自分と友達に「1週間後キスをさせてあげる」とからかいで言ってきた。そこから友達は牛乳瓶でキスの特訓を始めたらしく、著者は「みっともないから本気にするな」と咎めたところ、友達は「本気にしなきゃ面白くないだろ」と返すエピソードが綴られた話だ。「本気にしなきゃ面白くない」という人生を自発的に楽しむ姿勢は本当に大切なことだと思った。「楽しめることは楽しんでおかないと損である」というマインドは、幸せをこぼさないようにするライフハックかもしれない。

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